政権交代から1年——。三本の矢は本当に経済を動かすのか。
物価や賃金の上昇から貿易赤字まで、2014年の日本を占う
金融緩和で成長するか
――安倍政権発足から一年。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢からなる「アベノミクス」は、日本経済に明るいきざしをもたらしました。一方で、先行きに懸念を示す識者も少なくありません。そこで今回は、この一年の経済政策に対する評価、そして二〇一四年に安倍政権が向き合わなくてはいけない課題について、議論を進めたいと思います。
まずはアベノミクス最大の目玉となった金融緩和について、中心人物の一人である本田さんの評価からお聞かせください。
本田 政権発足当初から、私は内閣官房参与という立場で安倍政権の経済政策に関わってきました。今では、多くの経済指標が改善し、デフレ脱却に向けて順調に進んでいると思います。
一九九八年からの十五年間、日本経済はデフレ状態から抜け出せず、消費者や投資家は物価下落を予想し、消費や投資を控えようとするデフレマインドが定着してしまいました。アベノミクスの金融緩和とは、簡潔にいえば、民間金融機関が保有する国債などを日銀が買い入れ、大量にマネーを供給することで、インフレ予想を作り出し、予想実質金利(名目金利マイナス予想インフレ率)を引き下げる。それによって、為替や株式など金融資産商品市場に影響を与え、消費と投資を増やし、デフレを解消させる政策です。
一三年の四月四日、日銀の黒田東彦総裁は「二年で二%のインフレ目標」を掲げ、これまでとは次元の違う大胆な金融緩和に踏み切りましたが、すでに一年後の予想インフレ率はプラス二%台後半となり、物価は確実に上がりつつあります。
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source : 文藝春秋 2014年01月号