津田梅子 受け継がれるスピリット

101人の輝ける日本人

内山 聖子 テレビ朝日取締役
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2024年度発行の新五千円札の顔になる津田梅子(1864〜1929)。日本初の女子留学生で、女子英学塾(現・津田塾大学)を創立した。同大OGでドラマプロデューサーとして活躍してきた内山聖子氏が語る。

津田梅子 ©共同通信社

 今年3月放送のドラマ「津田梅子〜お札になった留学生〜」を制作しました。きっかけは、津田先生が新札の顔になるというニュースを見た時に「この人の苦悩って何だったのだろう」とふと浮かんだことでした。津田塾大学OGとして……という意識はありません。勉強熱心な人が多い津田塾にあって私はサボってばかりで、卒業後は大学の敷居を跨げないと思っていたほどでしたから。

内山聖子(うちやま・さとこ)さん

 そんなダメ学生でも、女子学生しかおらず、すべての事を女性が動かすという環境で自ずと鍛えられた部分があります。津田先生の教えである「自分で考え、自分で決定する」ということです。

 津田先生の名言もいつのまにか染み込んでいました。「環境より学ぶ意思があればいい」というのは今も耳が痛い(笑)。また「オールラウンドウィメン」という言葉は、最初から人生を一つの道に特化せず、広い世界を自分の目で見て、いろんな角度から物事を考えた上で進みなさいという意味かなと自分なりに解釈しています。そんなスピリットを胸に、大学を卒業した1988年、テレビ朝日に入社しました。

 1986年には男女雇用機会均等法が施行されましたが、社会に出てみて法の理念が浸透していないことを痛感しました。テレ朝は給与体系の平等など進歩的な方ではあったのですが、女性が長く勤めるものではないという“常識”が空気のように存在し、男性のように番組制作の仕事を任せてはもらえませんでした。

 入社5年目に秘書室から制作局に異動となりました。ようやく現場に立てた喜びで“常識”なんか吹き飛びました。男性の先輩たちからは後に「女性では体力的にきついしすぐ音を上げると思っていた」と言われましたが、がむしゃらに働き、数年後には局内初の女性ドラマプロデューサーになりました。

 以来、私が手掛けてきたドラマは『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』や『黒革の手帖』など、大半が女性が主人公。人生の壁にぶつかっては考え抜き、声を上げ、颯爽と歩んでいく女性たちです。

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source : 文藝春秋 2023年1月号

genre : ライフ ライフスタイル 教育