宮内庁というのはなかなか不思議な役所である。「内閣府に置かれるもの」(内閣府設置法第48条)であり、皇室関係の事務を担っている。では何が不思議なのか。
それは、「オモテ」と「オク」と呼ばれるような、他の省庁にはない、独特の線引きがあるからである。
「オモテ」は天皇の公務などに関する事務を扱う。儀式や外国との親善を担当する式部職、皇室関係の文書に関する事務や陵墓管理を担当する書陵部などがあり、政府との調整や報道機関への対応など、皇室の「公」に関する側面の様々な事務を行う。トップは長官である。
一方、「オク」は天皇と皇后などを支える侍従職が代表的であるが、上皇職と皇嗣職もあり、宮内庁のホームページによれば、それぞれの「直接お身近のことを担当」する。いわゆる側近として、天皇・上皇・皇嗣などの側に控え、「私」に関する相談にもすぐに応じる体制となっている。トップはそれぞれ侍従長、上皇侍従長、皇嗣職大夫である。
もちろん、「オク」も宮内庁の構成部局であるから、最終的な責任者は宮内庁長官(次長がそれを支える)となる。長官は侍従長らを統括する役目とも言える。
とはいえ、職務上、天皇らと接触が多く、先ほど述べたように私的な部分も含めてその意思をやはり数多く、そして直接的に聞くのは侍従長らである。
つまり、このどこか「ねじれ」のようなものがある不思議な役所が、宮内庁なのである。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年2月号