とらねこの死が意味するもの
娘が1歳になり、本棚からしきりに絵本を持ってきては、無言で読めとせがむようになった。意味が分かっているのか絵だけ眺めているのか母親の声が心地いいのかはよくわからないが、お気に入りのものもあれば1ページですぐに飽きてしまうものもある。意外と渋いものを好むこともあり、大人からするとこれが何度も読みたい、という子どもの基準は謎だ。そもそも絵本には謎が多い。絵があるぶん、小説や評論に比べて言葉数は一般的に少なく、言語で説明される部分はものすごく限られている。
本書は今や国内だけでなく世界にもファンが多い佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』の謎に、仏教思想に精通する著者ならではの補助線を使いながら迫るものである。絵本ではオスの「とらねこ」が何度も生と死を繰り返し、100万と1回目の生で最後に死ぬ。寓話的で実は結構わかりにくいこの物語の、通俗的解釈が踏み込まない謎。なぜ主人公である「とらねこ」は何度も生まれ変わることを繰り返しているのか。100万と1回目の死ではなぜもう生まれ変わらなかったのか。主人公の死で終わるこの話がハッピーエンドだと直感する人が多いのはなぜか。そしてなぜこの絵本がこんなにも色々な国で受け入れられたのか。
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source : 文藝春秋 2026年4月号

