たかが裾を出しただけで
「裾が、とんでもない同調圧力を発生させるからである」という一文に痺れて最後まで読み切ってしまった。小学生の時にどうしても欲しかったチビTからキャバクラ時代のYSLのロゴTまで思えば私もたくさんのTシャツを買って生きてきたが、その語感が持つのびやかで気軽な印象に対して、それを着ている私は必ずしも自由ではなかった。その理由が少し垣間見えた気がする。
日本の洋装史を語る上で、「舐められて」きたというTシャツについて、その誕生から用途の拡大、ファッションとしての変遷に至るまで、文学作品や映画での描写を紐解き、街の無意識を拾い集めながら辿っていく。それだけでも十分エキサイティングな体験なのだが、著者はこの歴史を、Tシャツの裾の出し入れを主題に描こうとする。「イン」か「アウト」か。そう言われてなんとなく記憶の中のTシャツを着た人を思い返してみれば、時代を象徴する裾さばきがあることに気づく。
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source : 文藝春秋 2025年11月号

