マーセル・ディルサス著 柴田裕之訳「独裁者の倒し方 暴君たちの実は危うい権力構造」

池上 彰 ジャーナリスト
エンタメ 読書

降りることのできないランニングマシン

 世界の独裁国家の数が民主主義国家を上回りました。2025年3月、スウェーデンの独立機関V-Dem研究所が発表した「民主主義レポート2025」によると、2024年末時点で世界179か国中、民主主義国家が88か国なのに対して、独裁国家は91か国に達したというのです。

 この調査で「独裁国家」とは、「権力が一部に集中し、民主的な監視機構が存在せず、市民の自由が制限されている体制」と定義されています。

 日本の周囲にも独裁国家が存在します。独裁者をどうすれば排除することが可能なのか。魅力的な書名です。著者はドイツのキール大学安全保障政策研究所の客員研究員です。

マーセル・ディルサス著 柴田裕之訳『独裁者の倒し方 暴君たちの実は危うい権力構造』(東洋経済新報社)2420円(税込)

 本書は、いわば独裁者についての「傾向と対策」です。取り上げられる独裁者の多彩な顔触れ。その残忍さと愚かさ。あまりの非道さに言葉を失います。

 本書は独裁者について分析・解説しますが、問題は独裁者個人ではなく政権の仕組みです。

「たいていの人は、独裁者というと、絶対的な権力を振るう男性を思い浮かべる(それは、ほぼ必ず男性だ)。だが、それは根拠のない通念にすぎない。これまで、絶対的な権力を握った政治指導者は1人としていなかった。どれほど強力な独裁者でも、権力を維持するためには他者を必要とする。権力の座にとどまるには、側近を思いどおりに動かす必要がある。そうしなければ、たちまち窮地に陥る」

 でも、どうして独裁者は権力を求めるのでしょうか。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2026年4月号

genre : エンタメ 読書