ジャニーズ事務所はSMAPや嵐など国民的スターを抱え、長年にわたり男性アイドルを輩出してきた。2022年末、NHK紅白の司会に櫻井翔。関ジャニ∞、KinKi Kids、King & Prince、SixTONES、Snow Man、なにわ男子が出演、白組21組中6組を同事務所タレントが占める。芸能界トップクラスの年間1000億円とされる売上げを誇り、主要メディアや広告会社がその人気の恩恵に与ってきた。だがここにきて、その“ジャニーズ帝国”が大きく揺れている。将来ジャニーズを引っ張ると期待された滝沢秀明副社長(40)が昨年10月末、突如退社したのだ。
これは寝耳に水の出来事で、芸能界に衝撃が走った。滝沢氏はジャニー喜多川氏の秘蔵っ子で、タレント発掘育成と演出プロデュースを任される形で大幹部に抜擢。予備軍である約200人のジャニーズJr.を束ね、20年にSnow ManとSixTONESをデビューさせ、22年にTravis Japanを世界デビューさせるなど手腕を発揮した。そのキーパーソンが退社するや、矢継ぎ早にキンプリ(King & Prince)から一番人気の平野紫耀ほか2人のメンバーが脱退を発表し、ファンは悲鳴を上げている。
双方、円満退社を強調しているが、額面通りに受け取ることはできない。いったい何が起きていて、今後どうなっていくのか。1962年創業の同社は、米ロサンゼルス出身のジャニー喜多川社長(2019年、87歳没)と4歳年上の姉メリー喜多川副社長(21年、93歳没)の両輪で経営し成功を収めた。現在はメリー氏の一人娘藤島ジュリー景子氏(56)が社長を世襲するファミリー企業だ。メリー氏は「後継者はうちの娘に決まっている」と公言し、SMAPを育てた女性幹部を猛烈に批判した。その結果、追い出される形で女性幹部は退社した過去がある。かように独裁的な社風で、また、タレントはスターであると同時にジャニーズ家の“使用人”とも言え、創業家の顔色を窺っているようにも見える。
「SMAP解散騒動が顕著で、彼らを育てた女性マネージャーはジュリー氏にライバル視され追い出された形に。ジュリー氏が担当するTOKIOや嵐は猛プッシュされ、お気に入り以外は優遇されず、タレントの不満は溜まっていた。今、彼女が熱心に推しているのは、なにわ男子。すごい露出量で他を圧倒しています。売れるかどうかはジュリー氏の意向次第です」(民放プロデューサー)
海外進出を望んでいたキンプリは、ジュリー氏に相談に行った際、「あなたたちなんか知らない」と突き放され、それが脱退の決め手になったと『週刊文春』は報じた(22年11月17日号)。そして滝沢氏は、ジュリー氏とうまくコミュニケーションが取れず、絶望した末、“使用人”の役目を終えることとなった。
高齢の叔父や母に代わってジュリー氏が経営を任された頃から、奇しくも多くのスターが相次いで退社した。17年の草彅剛、稲垣吾郎、香取慎吾から数えると、今井翼、渋谷すばる、錦戸亮、中居正広、手越祐也、山下智久、錦織一清、植草克秀、長瀬智也、岩橋玄樹、近藤真彦、森田剛と5年間で15人にのぼる。
タッキー退社質問はNG
だがしかし、“辞めジャニ”をテレビやCMで見かけることはほとんどない。彼らはSNSや配信ドラマ、ライブに活路を見出し精力的に活動しているが、広く一般大衆の目に触れる機会は少なくなっている。19年には、元SMAP3人をテレビ出演させないよう圧力をかけたという疑いで、公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して注意処分を行った。
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