「ゴーン絶体絶命」東京地検特捜部の逆襲

森 功 ノンフィクション作家
ビジネス 企業

国際的批判から誤算が……。検察の威信をかけた闘い

 東京地検特捜部にとって、日産自動車会長兼CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーン(64)の摘発は、ある種のチャレンジといえた。事件は仏の国策企業ルノーを揺らし、11月19日の逮捕当日に大統領のエマニュエル・マクロンが異例の声明を出すほどの騒ぎになる。

「フランス政府はルノー、日産、三菱グループの安定を見守りたい」

 国際的なカリスマ経営者の大捕り物は、瞬く間に世界中の政府やメディアの関心を引いた。側近の日産代表取締役グレッグ・ケリー(62)とともにゴーンが逮捕・勾留されてから80日あまり、この間、特捜部は経験したことのない数々の計算違いに陥り、新たな対応を迫られる。

カルロス・ゴーン氏 ©文藝春秋

 特捜部にとって最初の誤算は、年末の勾留延長却下だった。周知のように、ゴーン逮捕に踏み切った最初の容疑が金融商品取引法違反だ。ゴーンは2010年度から14年度の5年間で合計49億8700万円と日産の有価証券報告書に記載してきた役員報酬について、裏で50億円も報酬の積み増しを会社に約束させてきたという。いわゆる有価証券報告書の虚偽記載である。

「こんな形式犯で世界的経営者を摘発するのは無理がある」とばかりに、海外メディアを中心に特捜部批判が巻き起こった。

「日本人重役が仕掛けた日産社内クーデターに検察が手を貸した」

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source : 文藝春秋 2019年3月号

genre : ビジネス 企業