香港は一冊の難解な書

新書時評

武田 徹 評論家・専修大学教授
エンタメ 読書
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。

 先の6月30日、香港国家安全維持法が施行された。「反政府活動」をした者に無期懲役刑までが科される厳しい法律は自由都市・香港の息の根を止めてしまうのか。

 香港は一冊の難解な書だ――。中央政府駐香港連絡弁公室主任を務めた姜恩柱が残した言葉だという。確かにアジアでもあり、ヨーロッパでもあり、一地域でありながら、ひとつの国のようでもある香港は一筋縄ではいかない。倉田徹・張彧暋『香港』(岩波新書)はそんな香港の難解さを読み解こうとする。在香港日本国総領事館勤務後、今は立教大で教える倉田は植民地時代の香港の自由が人権思想に支えられたものというよりも「政府から距離を保」ち、「放置される」なかで育まれたものだという。それは一時の主輸出品だったホンコンフラワー(造花)のように永遠に枯れない確かさを備えていたわけではない。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2020年9月号

genre : エンタメ 読書