「国歌斉唱のときに傍にいたら、石原さんの歌声が聞こえてきた。あの人、『君が代』の歌詞を変えて歌ってたんですよ」
昨年2月に世を去った石原慎太郎氏。長く東京都知事だった石原氏の下で副知事を務め、後に自身も都知事となった著者は誤解の多い同氏の実像を明かす。
石原氏は国歌の出だしの「きみがよは」を「わがひのもとは」と歌っていたという。保守・愛国的な政治信条で知られる同氏だが、その戦争体験から天皇制に対する違和感を抱いていた。
「『君が代』は『古今和歌集』から採用された詞です。明治維新の後に天皇の治世を讃えるものとして解釈された。石原さんはそれが許せなかったらしいけど、そこまで意地を通すのかと驚いた」
およそ16万人の職員を統率する“伏魔殿”東京都庁でともに執務にあたった石原氏と著者。都知事執務室のある7階で、テニスに興じた秘話も明かされる。
「石原さんから『猪瀬さん、テニスをやろう』と誘われた。型破りなことをしなければあれほど大きな官僚機構を相手に仕事をすることはできないんです」
政治家としての業績だけでなく、本書は作家・石原慎太郎が同時代に与えた影響について雄弁に語る。鍵となるのは、三島由紀夫である。
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source : 文藝春秋 2023年3月号