日本の経済の中心地、東京・丸の内。敏腕経済記者たちが“マル秘”財界情報を覆面で執筆する。
★社外役員に女子アナの謎
株主総会シーズンが終わり、各社で新たな経営体制が始動した。そんな中、ここ数年目立つのが社外役員にテレビ局のアナウンサーやキャスター出身者を招くケースだ。
SBIホールディングス(北尾吉孝社長)が今年、取締役に起用したのは元TBSの竹内香苗氏。「女性の視点に立った経営戦略」を標榜する同社にとって、その知見を期待できるというのが選任理由だ。昨年起用した元NHKの久保純子氏との入れ替わりで、アナ出身者の指定席ができたとも言える。
起用例で多数を占めるのはNHK出身者だ。オンワードホールディングス(保元道宣社長)が今年、監査役に選任したのは草野満代氏。伊藤忠エネクス(岡田賢二社長)はアナウンス室長も務めた山根基世氏を昨年から取締役に。3年前から日本郵船(長澤仁志社長)の取締役に名を連ねる国谷裕子氏は局アナでないが、看板番組「クローズアップ現代」で名を上げた。
中には複数企業を掛け持ちする例も。TBSの朝番組出演などで知られる伊藤聡子氏は今年、岐阜が地盤の十六銀行(村瀬幸雄頭取)で取締役に、金沢が本店の三谷産業(三谷忠照社長)で監査役に。昨年には積水樹脂(福井彌一郎会長兼CEO)の取締役に就任しているから合計3社だ。フリーの福島敦子氏も12年就任のヒューリック(吉留学社長)を手始めに、カルビー(伊藤秀二社長)、名古屋鉄道(安藤隆司社長)と、都合3社で取締役を掛け持ちしている。
アナ出身者が引く手あまたなのは、社外役員のなり手不足が背景にある。東証は5年前、企業統治改革の一環で社外取締役を2人以上選任することを上場規則に加えた。それまで社外役員になるのは弁護士や会計士が通り相場。が、供給力にも限度がある。そこでアナ出身者が重用されだしたのだが、経営への貢献度は未知数。フジの元局アナでその後弁護士となり企業法務の第一線で活躍する菊間千乃氏のケースは例外的だ。同氏はコーセー(小林一俊社長)で取締役を務める。
それにしても、不思議な点がある。なぜ男性のアナ出身者はいないのだろうか。
★コロナ禍がいきなり直撃
6月1日、外食業界に衝撃が走った。「いきなり! ステーキ」や「ペッパーランチ」を展開するペッパーフードサービス(一瀬邦夫社長)が、同社の第2位の株主で主要な仕入れ先である食肉卸エスフーズの村上真之助社長から有担保で20億円を借り入れたのだ。日銭が入る外食の東証1部上場企業が取引先の社長個人から借金をした。これは「金融機関から、全く相手にされなくなったことを意味する」(民間信用調査会社)という。
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source : 文藝春秋 2020年8月号