「政と官」を𠮟る
5月号、古川貞二郎氏の『誰が官僚を殺すのか』を繰り返し読んだ。氏の警世の寄稿は、冒頭に「行政官は公平、公正、廉潔でなければならない。官僚は高い士気を維持して仕事に精励しなければこの国はもたない」と後藤田元官房長官の言葉を引いている。
いまやこれらの肝をすべて失い、「政治の驕りと行政の弛緩」の様が露呈している。鳩山内閣が「政治主導」を掲げ政と官のバランスを崩したことに起因する、との指摘に深く合点した。
民主党は「政治の目的は選挙に勝つことが総てだ」と宣言し、政権奪取に成功した。この2009年から政治は退廃の一途を辿るようになったと思う。すべての政党が臆面もなく「選挙」を目的に行動するようになり、この国から統治者は消えた。いきおい赤字国債が積み重なって、とめどがない。
3月号の有働由美子氏との対談で、倉本聰氏が「(日本人が)品格のない民族になり下がった」ことを嘆き、「次の選挙のことばかり考える政治」に、日本の崩壊の危機を覚えていた。議院内閣制の下では、政権与党の総裁に権限が集約されている。官僚を生かすか殺すか、「この国はもつのか」。ひとえに内閣の資質と責任にかかっている。
敗戦で一度、この国の滅びるのを見た。先行きに不安は増すが、絶望せず、次世代のために「あるべき行政」を復活させねばならない。
まずはメディアに「政と官」の不心得を繰り返し叱ってほしい。金権政治をただした貴誌に期待している。(玉置清)
アメリカのたくましき男
5月号の『バイデン「たくましき男」の履歴書』(藤崎一郎氏)を読み、バイデン氏こそいまの時代に最もふさわしい大統領だと改めて感じた。
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source : 文藝春秋 2021年6月号