絵本コンクールに事故取材。多忙な日々の中、指に違和感が…
2023年10月24日(火)
福島県の南東部、茨城県境にある矢祭(やまつり)町に出かける。手づくり絵本コンクール選考会のため。水戸方面に流れる久慈川沿いに田畑がささやかに開けた中山間地の町だ。人口は約5800人。
18年前の2006年5月に遡る。「田舎暮らしでも本を読みたい」「図書館が欲しい」「子どもたちの心の成長のためには絵本や児童書が必要だ」という住民の声を受けて、町はネットで全国に向けて発信した。
「書店もない町なので、何とか図書館をつくりたい。しかし町の財政が乏しいので、皆様の家に読まなくなった本がありましたら寄贈して頂けませんでしょうか」
たちまち反応が現れ、わずか3か月後の8月には、全国から寄せられた本が40万冊を超えた。静かな町にとって、それはもう“事件”だった(最終的には48万冊に達した)。
こうして翌2007年1月14日、「矢祭もったいない図書館」の名称で、全国初の寄贈本だけによる町立図書館がオープンに漕ぎつけたのだ。そして、町は様々な読書活動に取り組んだ。
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source : 文藝春秋 2024年7月号