大学で絵の世界に入った。入試は徹底的に手先の修練。入学後は頭を動かすことを知る。社会に出、それを仕事とするには心が大切となる。しかし絵などは無くても腹は空かないし、誰も困らない。世の中の為になっているのかわからない分、ボンヤリした気分。自分の性と前を向く時、先人画家を想う。風の中を進む姿をイメージする。是非もなくそれはヒューっと吹き、舞い上がる後ろ姿を感じると安心する。
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source : 文藝春秋 2023年6月号