月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。消費税増税も決着し、いよいよ念願の安保問題に舵を切り始めた。
予定通り来年4月、消費税率を5%から8%に引き上げる――。
デフレ脱却の足かせになりかねないと消費税増税に慎重だった安倍晋三首相。増税へその背中を押したのは、好転した経済指標だけではなく、皮肉にも政権発足以来ともにアベノミクスを強力に推進してきた日本銀行の黒田東彦総裁、そして菅義偉官房長官だった。
「3%の上げ幅を2%に圧縮、2%相当分の経済対策を打って、デフレ圧力を相殺することはできないか」
来年4月の引き上げ時期を先送りにするか、予定通り引き上げるとしてもデフレ圧力を抑え込む方法はないか。安倍は8月上旬まで、本田悦朗内閣官房参与らと模索していた。
そんな安倍に真正面から釘を刺したのが、黒田だった。
「消費税率引き上げを先送りした場合の国債に対する信認の影響を見通すことは非常に難しい。国債価格が大幅に下落するリスクがどれほどあるか分からないが、リスクが顕現化した場合の対応は非常に難しくなる」
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source : 文藝春秋 2013年11月号