米国の西半球回帰

新世界地政学 第17回

ニュース 政治 国際

 米国の大統領選挙は、挑戦者であるミット・ロムニー共和党候補の退屈さも手伝って、ドラマのないフィナーレとなった。オバマ再選劇も「オバマ・ノー・ドラマ」だった。

 公開討論にしても、印象深い言葉はほとんど皆無だった。

 それでも2012年の米大統領選挙の「この言葉」を強いて挙げれば、共和党全国大会の模様をオバマが「何か白黒テレビを見せられたって感じじゃない?」とチクリと刺したせりふあたりか。

 豊かな白人のカップルばかり、まるで1950年代の米国に後戻りしているような共和党の排他性と守旧性を「白黒テレビを見せられているって感じ」と裁断して見せたのである。

 共和党は、ますます白人の政党、いや、怒れる白人の政党に自らを追いやっている。

「アメリカを奪った」のは誰か。マイノリティー(非白人少数派)である。

 白人中産階級からすると、マイノリティーは、連邦政府にたかり、そこに巣くって勤勉な白人層の税金を吸い尽くすパラサイト(寄生虫)のような存在である。

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source : 文藝春秋 2013年1月号

genre : ニュース 政治 国際