マイルドヤンキーから「ハイロー」ブームへ 『東リベ』が大ヒットした“日本的土壌”

ヤンキー漫画と日本人 第3回

加山 竜司 フリーライター

電子版ORIGINAL

エンタメ 社会 芸能 映画

公開中の映画『東京リベンジャーズ2』が、前後編合わせて興行収入42億円を突破した。2021年に45億円を突破した前作に迫る勢いだ。原作コミックスは、全31巻の累計発行部数が7000万部を超える歴史的なベストセラー。なぜこの現代に、“特攻服にリーゼント”という昭和的ヤンキーが主人公のコンテンツが、これほどの大ヒットを記録しているのか。その答えにライターの加山氏が迫る連載「ヤンキー漫画と日本人」第3回。(第1回第2回を読む)

「ツレ」「ダチ」「友情」

 ヤンキーマンガの当たり年といえるのは1988年だ。この年には「少年ジャンプ」で『ろくでなしブルース』(森田まさのり)、「少年サンデー」で『今日から俺は!!』(西森博之)、「週刊ヤングマガジン」(講談社)で『ゴリラーマン』(ハロルド作石)の連載がスタートする。

『ろくでなしブルース』、『今日から俺は‼』、『ゴリラーマン』

 ヤンキーマンガの登場人物たちは不良である。

「なめられたら終わり」との独特な価値観を有し、売られた喧嘩は買う。そして喧嘩は「〇〇高校vs□□高校」といったように、大規模な抗争へと発展する。ヤンキーは社会や教師に反抗的であっても、学校に帰属意識を持っているところに彼らの特殊性がある。自分たちのスモール・コミュニティでの人間関係を重視し、「ツレ」「ダチ」「悪友」「友情」を重んじる。ヤンキーとは、居住地域に根ざした「地域密着型」の不良なのだ。

 番長マンガと同様に喧嘩に明け暮れるものの、彼らは暴力に支配された学園を解放するとか、全国の不良を束ねて天下を統一するとか、そういった夢想は抱かない。成り上がりの権力志向は薄く、自分たちの身内意識(グループの居心地)を大事にする。

 授業をサボる、放課後に仲間同士でたむろする、喧嘩をする、友情や恋愛感情が育まれる……と、ヤンキー学生の日常的な戯れが、学校空間を軸に半永久的に続いていく。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今だけ年額プラン50%OFF!

キャンペーン終了まで時間

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

オススメ! 期間限定

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

450円/月

定価10,800円のところ、
2025/1/6㊊正午まで初年度5,400円
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : エンタメ 社会 芸能 映画