福島原発事故の際、東電福島第一原発の吉田昌郎所長が政府事故調の聴取に答えた記録(吉田調書)は、あの事故とそれが生み出す危機について多くのことを教えてくれる。
私たちの独立系シンクタンク、日本再建イニシアティブはこのほど、この吉田調書を手がかりに、危機の真実に迫ることを意図して報告書(「吉田昌郎の遺言 吉田調書に見る福島原発危機」)を刊行したが、この作業に取り組む過程で感じたことが一つある。
それは、日本の社会が、教訓を学ぶことに以前ほど真剣でなくなったのではないか、という疑問である。
1995年の阪神・淡路大震災の時の方が、私たちはもっと真摯に教訓を学ぼうとしたのではないか。内閣の危機管理センターと内閣危機管理監はこの時の反省から生まれた。地方自治体の自衛隊出動要請も地方消防の広域的展開も、これ以後、可能になった。
それに比べて、311、中でも福島原発危機からは、原子力規制委員会(規制庁)の設立以外、これはという教訓の成果が見えない。
フクシマの最大の教訓は何か。
それは、原発危機が必ず国家的危機を招くという恐ろしい事実である。
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source : 文藝春秋 2015年4月号