テロとの戦いは、国民の胆力

新世界地政学 第43回

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 後藤健二さん(47)と湯川遥菜さん(42)の2人の日本人がイスラム系テロリスト集団に拘束されている映像が先月、インターネット上に流された。

 彼らは当初、2人を釈放する条件として2億ドルを日本政府に要求した。安倍首相が「イスラム国と戦うために2億ドルを支払うという馬鹿げた決定を下した」から、その同額を要求したのだという。首相が中東訪問に当たって表明した難民・避難民支援のことを指している。

 ところが、その4日後、今度は湯川さんが殺害されたとみられる場面が映っている写真を手に持つ後藤さんの映像が映された。後藤さんは「彼らはもうおカネはほしくない」と告げ、「ヨルダン政府に収監されているサジーダ」を引き渡せば自分は解放されるとし、「これを私の最後の言葉にしないでほしい。安倍首相に私を殺させないでほしい」と訴えている。

 テロとの戦いは、どの国にとっても最も難しい挑戦の一つである。

 テロは武力で根絶やしにできるシロモノではない。イデオロギーと情念と怨念を、軍事力で破壊することはできない。また、テロを起こさせないようにする抑止力を形成するのが難しい。

 抑止には威圧とともに対話も必要だが、テロリストとは「事前の対話」は成り立ちにくい。テロは恐怖感を惹起すべくサプライズの要素が不可欠である。「事前の対話」はなじまない。

 人質テロに対して、譲歩はできない。

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source : 文藝春秋 2015年3月号

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