経済安全保障政策の政策協調

新世界地政学 第142回

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 広島でのG7サミットはG7史上、初めて経済安全保障を独立した議題として取り上げ、「経済的強靱性及び経済安全保障に関するG7首脳声明」を発表した。

 声明は、以下のような戦略を柱としている。

・G7の信頼できるパートナー国との間で強靱なサプライチェーンネットワークを作る上で、透明性、多様性、安全性、持続可能性、信頼性を不可欠な原則とする。

・「非市場的政策・慣行により他国の自国への依存を強めようとする動き」に対して「より強力な国際ルール・規範」を構築する。

・「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、経済的威圧を抑止し、場合によっては対抗措置を取り、被害国への支援協調をする。

 国名は挙げていないが、主として中国を念頭に置いた政策協調のススメを説いていることは明らかだ。

 こうした戦略論は、4月末にジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が行ったスピーチを下敷きにしている。サリバンはこの中で、市場の効率の名の下に戦略物資のサプライチェーン・産業基盤を空洞化させたことや中国をシステムに組み込んだ結果、軍事的野心の拡大、経済依存による地政学的な影響力行使を許したことなどを「現行システム」の問題点として挙げた。その反省を踏まえて、新たな産業戦略を策定し国内に新たな産業基盤を築く、そして、従来の関税削減とは異なる国際経済パートナーシップを築くと主張。「米国は中国と多面的に競争しているが、米国は中国との対立や衝突を望んでおらず、責任を持って競争を管理する」と述べた。「デカプリングではなくデ・リスキング」で中国に臨むと言うのである。

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source : 文藝春秋 2023年7月号

genre : ニュース 政治 経済 国際