「戦前、サミットがあれば、ヒトラーは生まれなかったかもしれない」
1980年代末、オランダの歴史家兼外交官だったマックス・コンスタム欧州大学研究所初代学長からそんなサミットへの評価を聞いたことがある。
主要な民主主義国が完全雇用と物価安定を経済政策協調によって追求し、世界の平和と安定のために国際秩序とルールを維持し、強権国の力による現状変更を阻止するべく抑止力強化を共に図る。そのような司令塔とメカニズムによってファシズムを二度と誕生させない、との欧州の祈願がこの言葉には込められていた。
しかし、1975年の創設から約半世紀を経たいま、G7が戦前あったとして、果たしてナチスを防げただろうか、という疑問が涌いてくる。
G7は、プーチンのウクライナ侵略を防げなかった。中国の南シナ海と東シナ海の海洋権益拡張のための力による一方的な攻勢を許してしまった。
それにG7はこの間、何度も死亡宣告を突き付けられてきた。
1985年のG7ボンサミットでは、ミッテラン仏大統領が「G7経済サミットは無意味であり、今回を最後に、私はもう来ないかもしれない」と宣言した。
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source : 文藝春秋 2023年6月号