牛尾さんの訃報を聞いて、かねて覚悟していたといいながらも、余人をもって代えがたい人を失った悲しみは筆舌に尽くしがたいものである。人生の先輩が次々と少なくなっていく寂しさは運命とはいえ、何とかならないものかと愚痴になる。せめて生前にもっと心がけを良くしておけば良かったなどと反省しても始まらない。つまりは愚痴に終わる。
牛尾さんと私の場合、互いに交錯することなく人生を通り過ぎるかのように見えていたが、人生の終局に至って急に思いがけなく交錯したという関係である。勿論、牛尾さんはいわゆる有名人であり、こちらは無名の一研究者に過ぎないのであるから、交錯がなかったとしても別に不思議はない。
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source : 文藝春秋 2023年9月号