創刊100周年の雑誌『文藝春秋』での名物コーナー「三人の卓子」。読者の皆様からの記事への感想を募集・掲載しています。
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日本国民の欺瞞
9月号『秋篠宮家 佳子さまからの警告 なぜ独り暮らしを決意されたのか』は、証言や伝聞で綴られている。野田佳彦元首相の発言にある通り「皇族方の本心は分か」らないため、「憶測に基づく議論は避けるべき」である。しかし、皇族方の本心は措いても、日本人は自らの課題として皇室問題を考えなければならない。我々は基本的人権が保障された憲法の下、自由を謳歌している。そして、天皇を「日本国および日本国民統合の象徴」とした上で、皇室制度を維持している。その皇室は、特定の個人の自由を著しく犠牲にした上で成り立っている。生身の人間であれば当然抱く夢や希望、喜びや悲しみまでを国民の監視下に置き、下世話な嫉妬心を浴びせかける。「皇族の人権制約は当然」と思考停止に陥り、生き方を選択する自由、選択して失敗する自由を奪うことの不条理さに、我々は目を背けている。
眞子さんの結婚に続き、佳子さまの独り暮らしへの批判があるようだが、忘れてならないのは、婚姻に伴う女性皇族の皇籍離脱は、現行制度上認められていることであり、法治国家の国民がこれを否定するのは、身勝手な自家撞着に他ならない。我々は「自由」を最高の価値として尊びながら、皇室の「不自由」には目もくれず、自分ならできもしない我慢を強要し、涼しい顔をしている。各国から称賛される皇室であるが、そこには日本国民の欺瞞、さもしさ、醜さが映し出されていることに、そろそろ気付くべきではないか。
(岐阜県 河本哲治)
▶お手紙に書かれているように、国民が皇族方の心情を知る機会は会見や文書などに限られており、私も、今回取材する中で、皇室のイメージを覆す証言を得て衝撃を受けました。この記事が皇室問題を考えるきっかけになればと思います。(担当編集より)
花火を見たくない母
9月号『「新しい戦前」なんて嫌ねッ』で黒柳徹子さんの太平洋戦争体験とその後の思いを読んだ。6年前に亡くなった私の母は、黒柳さんと同い年で同じような戦争体験をした。母は新潟県長岡市で生まれ育ち、8月1日の長岡空襲を体験した。その時の話を私は幼い頃から何度も聞いた。ヒューヒューと爆弾が間近に落ちてきて、家族で山に向かって逃げた。途中で母親とはぐれてしまい「かあちゃーん、どこらー」と泣きながら逃げた。幸い家も家族も無事だったが、数日後に学校に行くと、同級生が何人も亡くなり友だちと抱き合って泣いたという。現代の長岡では太平洋戦争戦没者の慰霊や平和を希求する花火が毎年打ち上げられるが、母は「空襲を思い出すから」と、長岡花火を見たくないと言っていた。
戦後78年が経つが、今も世界中で戦争は無くならないばかりか、「新しい戦前」がいつの間にか忍び寄ってきている。黒柳さんが強調した「あっという間に戦争は始まる」を肝に銘じなければならないと思った。戦争体験者は益々少なくなるが、黒柳さんにはいつまでも戦争体験を語り続けてほしい。
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source : 文藝春秋 2023年10月号