「彼は『藤井八冠』になっても、全然ゴールだと思わないはずです」

有働由美子のマイフェアパーソン 第58回

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news zeroメインキャスターの有働さんが“時代を作った人たち”の本音に迫る対談企画「有働由美子のマイフェアパーソン」。今回のゲストは、将棋棋士の杉本昌隆さんです。

 有働 この対談が掲載されるのは10月10日発売の号。藤井聡太七冠が王座戦で八冠を獲れるかどうか注目されている頃です。師匠である杉本さんは、どう予想されますか?

 杉本 藤井七冠はこれまでタイトル戦の五番勝負や七番勝負で、最終的に負けて終わったことがありません。挑戦すれば必ず奪取するし、防衛戦は必ず守る。ある意味“無敗”なんです。対戦相手の永瀬拓矢王座からしたら、一番嫌な相手が出てきたなというところでしょう。

 有働 驚くほど強い藤井さんですが、その話は後ほどお聞きするとして、まずは杉本昌隆八段ご自身のお話を伺わせてください。初のエッセイ集『師匠はつらいよ』(文藝春秋)が5刷と大変な評判です。将棋ファン以外の方にも「藤井さんの師匠」として人気が出ていらっしゃいますね。

 杉本 「師匠」と呼んで頂けるのは嬉しいですが、今や必ず肩書のように「藤井七冠の師匠」と入るんですよね。数年前に谷川浩司十七世名人と対談した際、ネットの記事のタイトルを見たら「谷川九段(当時)と藤井聡太の師匠が……」というような書き方で(笑)。

 有働 それは失礼すぎる! 杉本さんの柔和なお人柄で許容していらっしゃいますが、史上57人目の600勝達成というすごい棋士ですから、と強調しておきます。それに、私は『師匠はつらいよ』を週刊文春の連載で愛読していますが、文体と内容を見たら誰もが杉本ファンになってしまいます。ご自身では将棋ファン以外からも支持されている理由は何だと分析しますか?

 杉本 なるべく専門用語を使わないようにしているのと、棋士の目で見た日常に共感して頂いているのかなと思っています。地元名古屋では子ども新聞にも月1回のペースでエッセイを書いているのですが、その編集部に先日、中学生の女の子からファンレターというほどではないけども、メールが届いたんです。「勝負の世界に生きる方なのに、日常が庶民的で面白い」と。

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source : 文藝春秋 2023年11月号

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