「僕が巨人に裏切られた日です」 。清原の一言に鼻面を叩かれた
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「清武さん、あそこですよ」
ハイヤー運転手の声に、ぼんやりしていた私は目をこすった。
そこは巨人の四番打者だった清原和博の自宅だった。
主力選手のもとを順番に朝駆けしようとして、そこに来ていたのだった。午前8時から9時の間くらいではなかったかと思う。「読売巨人軍取締役球団代表兼編成本部長」の名刺を私は持っていた。
なぜそんな朝駆けに及んだかといえば、着任したばかりの私にできることはその程度のことだったから、としか言いようがない。
今となってみれば、相手の迷惑を顧みない愚かしい行為だが、選手の懐に飛び込もうという心意気に燃えていたことに加えて、暴れ者を驚かせてやれ、という悪戯心のようなものがあったことは否定しない。何日か前から選手宅を回り始めて、清原宅は2軒目か、3軒目だった。
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source : 文藝春秋 2024年1月号