力士の大きな体をつくるちゃんこ鍋は、たっぷりの野菜と肉や魚が入った究極の健康食。そこには、相撲部屋の歴史とこだわりが詰まっている。
1. 高砂部屋の「塩炊き」
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力士たちに一番人気の「塩炊き」は、鶏ガラスープにニンニクを効かせた塩味で、メインは鶏肉、竹輪やウインナーも入れる。大根やにんじん、白菜、えのき、しめじなど各種野菜のほかに、角界で“薄揚げ”と呼ぶ油揚げ、整腸作用のあるしらたきも。ちゃんこ長の朝心誠によると、「ニラやホウレンソウなどの青菜を入れる場合は一番最後に。火が通りにくいものから入れます」。鶏ガラでスープを取り、さらに顆粒の鶏ガラスープの素を入れてコクを出すのが高砂流。二本足で立つ鶏は、土俵で手を付くと負けになる力士にとって縁起がよいとされる。
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昭和36年以来、高砂部屋が九州場所の宿舎としているお寺の一室でちゃんこを囲む力士たち。鍋も副菜も、あっという間に完食
2. 佐渡ヶ嶽部屋の「鶏ソップ炊き」
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角界伝統の「鶏ソップ炊き」は、醬油味をベースに酒やみりんを加え、砂糖で甘味を付けたもの。この日は宮崎地鶏の鶏ガラ3キロをじっくり2時間煮込んだ。“ソップ”とは“スープ”が訛ったもの。角界では鶏ガラのように痩せた力士のことを“ソップ型”と呼ぶが、その語源ともなっている。「先代師匠の時代は、生きた鶏の差し入れがあって羽根を毟って捌いたこともあったそうですよ。ちゃんこ作りにセンスがある子は、相撲にもセンスがあるものです」(佐渡ヶ嶽親方)。食感も大事にし、稽古の仕上げである“ぶつかり稽古”の音が聞こえたタイミングでキャベツを入れるこだわりが。
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「ちゃんこ作りも稽古のうち」と、真剣勝負
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稽古後、親方自らちゃんこ場に
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取材陣にもちゃんこが振る舞われた
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source : 文藝春秋 2024年2月号