九州が新たな聖地なんですよ――。珈琲通で小誌でも活躍のカメラマン・赤尾昌則さんが語った。京都や神戸ではなく、なぜ九州に美味しい珈琲が? 早速、現地へ赴いた。
佐賀の嬉野や鹿児島の知覧など、九州は日本茶の名産地が点在する。
当地でなぜ舶来の珈琲が支持されてきたのか、取材中に尋ねると「やはり、もともとお茶の文化があったからでしょう」という返事が多かった。ただ、芸事として茶道の作法を重視するのではなく、お茶をシンプルに楽しむ。その自由なスタイルが九州の珈琲文化に繋がったのでは、と聞いた。ノー・ルールが生んだ珈琲とその作り手は、あまりに多彩だ。赤尾さんは語る。
「珈琲アローは八井さんの強いこだわりのもと、珈琲の範疇では語れない珈琲を誕生させました。珈琲美美は柔和な中にも芯のある味が素晴らしい。豆香洞は、個性を追求しがちな珈琲において“俺”より“全体”を考えて作られる繊細さがいい。珈琲 冨士男は先代のいる難しさを乗り越え、必ず誰かにハマる味。まさに喫茶店のあるべき姿です」
信念を貫いた一杯には珈琲の神が宿る
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