奇道を往く

記者は天国に行けない 第26回

清武 英利 ノンフィクション作家
ニュース メディア スポーツ

「どうしてもいま、上がりたい」。シャイな青年が内に秘めた執念を燃やす

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〈世界に別れを告げる日に

 ひとは一生をふりかえって

 じぶんが本当に生きた日が

 あまりにすくなかったことに驚くだろう〉

『茨木のり子詩集』(思潮社)の「ぎらりと光るダイヤのような日」に、こんな一節がある。

 これから紹介する二人は記者と投手で、道が交わることもなく、いずれも特別な人ではない。共通しているのは、いつも他人と違う道を選んでしまうことである。それは奇道と呼ばれたり、修羅道だったりもするのだが、たぶん一生を振り返るときに、自分が本当に生きた日が他の人よりも多いことに気づくだろう。人生に対するあきらめが悪く、不安の中でも自分を安売りしないからだ。

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source : 文藝春秋 2024年3月号

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