わたし ぐんぐん巨(おお)きくなって冬空の平たい胸に顔埋(うず)めたし
嘲笑が山の向こうを焼いている電車のなかに人らは眠り
プラネタリウムで何を見たっけおまじない何だったっけ針葉樹林
心ここにあらず心はどこにある雪と運河の触れ合うところ
雑木林、廃駅なども通過してやがて車窓に人面灯る
手と手 目と目 言葉と言葉 人間は人間たちの玩具(おもちゃ)ではなく
雪粒の隙間を縫って夜がくる ゆうきのすずがりんりんりーん
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source : 文藝春秋 2024年4月号