7月25日に閉幕した特別国会で露見したのは、首相・高市早苗と自民党副総裁・麻生太郎との間に広がる亀裂の深さだ。国民民主党との連立を目論む麻生に対し、日本維新の会を親衛隊とする高市。特別国会の終盤、衆議院議員定数削減法案を巡る攻防で火花が散った。
織姫と彦星が年に一度の逢瀬を許された日、高市と維新代表の吉村洋文が顔を合わせたが、2人にとっては気乗りのしない対面だった。
「国会の会期が残り少なくなる中で、残る議員提出法案の取り扱いなど、今後の進め方について自民党総裁として意見交換を行った。詳細についてはお答えを差し控えさせていただく」と高市は会談後、記者団に語ったが、いつもの作り笑顔は消え、能面のような面持ちだった。

吉村も「内容については皇室典範(の改正案)、副首都法案、議員定数削減法案の今後の進め方について協議をした。中身についてここでお伝えすることはできない」とたった2分で質疑を打ち切った。
会談では、議員定数削減法案を秋の臨時国会へ先送りし、皇室典範改正案と副首都構想関連法案を特別国会で成立させることを確認した。時間にしてわずか7分、結論ありきのセレモニーだった。
議員定数削減法案について高市は、維新が当初から主張する比例区で45議席削減する案を党内で検討するように、幹事長の鈴木俊一に指示していた。自民は6月24日に維新と法案を共同提出し、26日に国会で審議入りすると決めた。
だが、野党が衆院の選挙制度協議会で議論していると反発して審議拒否。国会は空転した。
先手を打ったのは麻生だった。麻生の意を受けた山口俊一議院運営委員長が森英介衆院議長と協議し、森が7月1日に突如、与野党幹事長らを国会に招集した。森は、あくまでも私的な想いだと前置きして、「今の状況を憂慮している。皇室典範改正案が提出されたが、喫緊の課題で早急に結論を出す必要がある。選挙制度、副首都も重要な法案で、与野党双方が審議に参加できるよう互譲の精神で進めて欲しい」と伝えた。

その意味するところは、国会を正常化するために、与党は副首都法案や定数削減法案で野党に譲歩しろということだ。この議長仲裁は官邸にも直前まで知らされておらず、官邸幹部は「一体誰が仕掛けてきたんだ」と憤り、犯人捜しも行われた。
インドへの極秘メール
だが、高市と吉村もただでは引き下がらなかった。皇室典範改正案を最優先で審議するものの、定数削減法案と副首都法案は特別国会で「最大2回の延長を含め成立させる」とする覚書案が作成された。維新が覚書締結を求めたのは「皇室典範改正案だけ成立させて、自民に『食い逃げ』される」(維新幹部)と警戒したからだ。ところが、覚書の存在が報じられると、野党が猛反発してあえなく幻と化した。維新は定数削減法案と副首都法案を潰したい自民側がリークしたと確信している。
水面下で動いたのは、あの男だ。
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