小砂川チト「就職しない。家族も『おやおや?』の選択から」

第175回芥川賞受賞者インタビュー

NEW

エンタメ 読書 芥川賞

受賞のことば 小砂川チト

 Switch2が手に入らず、散歩コースにあるレンタルビデオ店をせっせと覗いていた時期があった。毎日「品切れ」の張り紙と、がらんと空いた棚だけがそこにあることを確かめては、ヨシと納得して帰る。ところがある日、ほとんど事故のようにして「在庫ございます!」に出遭ってしまう。奇妙なことにその次の日からもわたしは、店へ通うことを続けていた。自分のSwitch2はすでに家にあるにもかかわらず、その幻影を捜してさまよっていたのだった。

 自分の手の中に入ったようで、その手ざわりや重さにはいつまでも実感が伴わず、だからわたしはこれからもオロオロと捜し続けるのだという気がする、いつまでもいつまでも芥川賞の幻影を、書きながら追いかけ続けることになるのだという予感がする。

〈略歴〉

1990年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科修了。2022年「家庭用安心坑夫」で群像新人文学賞を受賞。

 受賞者インタビュー 小砂川チト

小砂川チト氏 ©文藝春秋

 

「誰も褒めてくれない」という一節は執筆時の私の心の叫びです(笑)

 ――群像新人文学賞を受賞したデビュー作の「家庭用安心坑夫」、2作目の「猿の戴冠式」が続けて芥川賞の候補となり、そして3作目でついに受賞となりました。

年額プランがおトク!月あたり900円で全記事読み放題

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

オススメ!

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2026年9月号

genre : エンタメ 読書 芥川賞