元側近が「もしトラ」後の世界を語る (取材・構成 大野和基)
次のアメリカ大統領選で、もしドナルド・トランプが選出されたら、日米同盟が危機にさらされるのではないか。それが日本政府の抱く最も深刻な懸念の一つでしょう。
断言できることは、トランプは「同盟の本質」をよくわかっていない、ということです。したがって日米同盟はまったく予期せぬ事態に陥る可能性があります。
ジョン・ボルトン氏は「もしトラ」後の世界について、このように語りはじめた。トランプ政権下で2018年4月から2019年9月まで国家安全保障担当大統領補佐官を務め、アメリカの外交・安全保障政策を担った人物だ。
トランプが再選されたら、世界はどうなってしまうのか? トランプを間近で見てきたボルトン氏に訊いた。
まず日本人に知っておいてほしいのは、トランプは日米同盟の意義をまったく理解していないということです。アメリカは「親切心から日本を防衛している」と考えており、アメリカの好意に対して、日本が十分な見返りをアメリカに与えていないと考えています。
相互防衛同盟が同盟国に利益をもたらすこと、すなわち同盟国がばらばらに自国を防衛するよりも、協力して集団安全保障体制を築いた方が、自国を守りやすくなることをトランプは理解していません。日米同盟など続けるだけアメリカの損だと考えている。残念ながら、彼が大統領退任後に賢くなった様子はうかがえません。
ところが、トランプが大統領の座から去って3年余りが経った今、中国や北朝鮮、ロシアが世界にもたらしている脅威はむしろ高まっています。にもかかわらず、ジョー・バイデン大統領はオバマ元大統領の「戦略的忍耐」政策に倣って何もしませんでした。その間、ロシアはウクライナ戦争を始め、中台の緊張は高まり、北朝鮮は核兵器や弾道ミサイルの開発を着々と進めました。
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