2023年10月から放送され、人気を博したNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。そのヒロインのモデルとなった国民的歌手・笠置シヅ子(1914~1985)に「東京ブギウギ」など数々のヒット曲を提供したのが、作曲家・服部良一だ。笠置が他界した際、服部は彼女への追悼文を本誌に寄稿していた。朝ドラでも描かれた、昭和を代表する流行歌手と作曲家の熱すぎる“師弟愛”。
(初出:「文藝春秋」1985年6月号)
昭和60年3月30日午後11時43分、東京中野の佼成病院で笠置シヅ子が眠るようにこの世を去った。享年70。癌の末期としては驚く程静かな、そして、安らかな最期であったと云う。
彼女との初対面は昭和13年4月、帝国劇場の舞台裏である。
その年の3月、毎日新聞社の主催で皇軍慰問団が中支に派遣される事になり、コロムビアからも上山草人を団長に、伊藤久男、松原操、渡辺はま子などが参加する事になった。僕は昔から中国には非常に興味を持っていたので、サキソホンを吹けるのを幸い、なんとかもぐり込ましてもらう事にした。その折、松平晃君と杭州の西湖で、小船を浮べ二人でサックスなぞを吹いて遊んだのが、後の東宝映画、長谷川一夫、李香蘭(山口淑子)主演の「支那の夜」の主題歌「蘇州夜曲」に生かされたのである。
さて約一カ月位の慰問が済んで東京駅に帰りつくと原善一郎君(その頃の新響のマネージャー)が迎えに来ていて、
「今度、東京大阪の少女歌劇から芸達者な連中を集めて、それに男性を加え、帝国劇場に本拠を置き松竹楽劇団を結成する。そこで紙恭輔氏が正指揮者に決定、ついては副指揮者として、是非君の参加を希望している」
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source : 文藝春秋 1985年6月号