![](https://bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/e/9/1600wm/img_e92b742fe1bd2020bd81d9e33c2e354a223923.jpg)
2023年、全国の山岳遭難件数は統計史上最多の3126件となった。遭難すると、人はどのような行動をとるのか。ライターの羽根田治氏は、30年以上にわたり遭難事故を取材・検証し、執筆を続けてきた。
「三十数年前、岐阜県警山岳警備隊の本の制作をお手伝いする機会がありました。隊員に話を伺う中で、事故ひとつをとっても遭難者の想い、家族の想い、救助者の想いがそれぞれあることを知った。死の淵に立たされた人やその関係者が、何を考えどう行動したのか、もっと知りたいと思ったんです」
本作では、長期にわたり生死の境を彷徨いながらも生還を果たした単独行の登山者4人に取材を行っている。
![](https://bunshun.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/1600wm/img_4c305c3d204075da9d87249b5d91124f309956.jpg)
「救助隊に見つけてもらえないまま、13日間もひとり山で過ごした方の事例を紹介しましたが、彼は重傷を負いながらも、ボールペンのインクが尽きるまでメモ帳に日記をつけ続けていました。冷静沈着な行動に驚かされましたが、メモを見ると救助が来ないことへの苛立ちや、幻覚を見ていたことが分かる。極限状態まで追い込まれた遭難者の生々しい心情がよく分かる、非常に貴重な資料です」
取材では遭難の原因を探るべく、生還者と一緒に彼が遭難した山にも赴いた。
「自分がどこで選択を誤ったのか知りたい、という生還者は意外に多いです。リベンジしたいという方もいます。興味深いのは、どんなにベテランの登山者でも、ちょっとした気の緩みで初歩的なミスをおかしてしまうこと。登山には『道に迷ったら引き返す』という鉄則がありますが、『帰りの飛行機に間に合わないかも』といった焦りから、先に進んで遭難してしまうケースも多い」
無事に生還しても、SNSでの誹謗中傷に悩まされるケースもあるという。
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source : 文藝春秋 2024年9月号