この国の宗教と経営の関わりを探る
入山 歴史学者の本郷さんとはこれまで何度か様々な媒体で対談をしてきましたが、そのたびに「経営学を研究する上で歴史や宗教って、本当に大事だな」と思わされました。今日も日本の宗教の歴史を本郷さんにうかがい、その知見を経営学に活かせればと思っています。そこで本郷さんと宗教学者の島田裕巳先生との共著『鎌倉仏教のミカタ』(祥伝社新書)を読んで予習してきたのですが、この本で意外だったのは、親鸞の評価があまり高くないことです。本郷さんは鎌倉仏教の指導者では、誰にいちばん心惹かれますか?
本郷 僕は法然を尊敬しているんです。ほぼ貴族しか相手にしていなかった仏教を世のため人のためを考えて、「やさしく」したことは、本当にすごいことです。
入山 僕自身は浄土真宗で、妻は日蓮宗です。妻の親族が亡くなった際、日蓮宗のお葬式に出たことがあるのですが、けっこうロックで驚きました。
本郷 太鼓を叩きながら「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」とノリノリで唱え続けるんですよね。日蓮の前向きな人柄が表れていると思います。
入山さんは先日、池上彰さんとの共著『宗教を学べば経営がわかる』(文春新書)を上梓されました。宗教を学ぶことで経営学を深め、経営学の知見から宗教の内実を考えるという本です。この本の肝の一つは、「センスメイキング理論」。この理論からは次のような結論が導かれます。組織のメンバーが自分たちの組織が何を目指しているのかを共有し、納得して行動できると、その組織は強い力を発揮できる。つまり強い組織、会社を作るには、「腹落ち」が非常に大切ということです。僕はこの本を読んで、まさに腹落ちしました。ここまで宗教に興味を持ったのはなぜなのですか?
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