美智子さまと同じでなくていい。自然体で振る舞ってほしい
「令和」という新たな御代が始まりました。この代替わりにあたって、日本に皇室と元号が存在することの素晴らしさと有難さを改めて感じています。しかし、だからこそ思うのです。ここで一度胸に手を当てて考えねばならない問題があるのではないか、と。
平成の御代に、上皇陛下は、美智子上皇后陛下とともに、理想の「象徴天皇像」「皇后像」を追求され、国民にとって意味のある天皇・皇后になられようと、自らさまざまな活動を開拓されてきました。その姿に多くの国民も共感してきました。
しかし、その負担は想像を絶するものでした。だからこそご高齢により、その負担を担いきれなくなり、今回の代替わりに至ったわけです。
ここで考えるべきだと思うのは、そうした経緯を、私たちがどこまで真摯に受けとめているかです。
考えてみれば、私たち国民の側には、重責をか弱いお二人の身に負わせ、人権に重大な制限を課しておきながら、日頃の生活では、皇室報道に対して通り過ぎる時にちょっと手を休め、TV画面をちらっと振り返るだけのような“他人事感”があったのではないでしょうか。
今回の代替わりにあたっても、「新天皇・新皇后に期待することは?」という話にすぐなりがちです。しかし、天皇も皇后も生身の人間。国民の側が、人間の実像をはるかに超えた理想を一方的に押し付けるのは、どこか間違ってはいないでしょうか。皇族の方々にも「人権」があるはずです。そこを無視するのは、一種の暴力だと思うのです。
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source : 文藝春秋 2019年6月号