元数学少年から社外活動のすすめ

改革リーダー6人の提言⑥

清水 博 日本生命保険相互会社代表取締役社長
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アベノミクス、一億総活躍、資産所得倍増など、この十数年、さまざまな経済対策が講じられたが、長期で見れば、人材の育成こそ最も有効ではないか。AI、半導体から建築、金融まで、「ものづくり大国」再興のために必要な教育とは──

 生命保険業界は大きな変革期にあります。とりわけ急務なのは、営業手法の本格的なDXです。

 私自身、大学時代は理学部で、専攻は位相幾何学(トポロジー)でした。就職する際に保険業界を選んだのは、数学の知識が活かせると考えたからで、入社後は、確率や統計といった数理的な手法を用いて保険商品の開発などを行う「アクチュアリー(保険数理人)」の資格を取得しました。

 そんな経歴もあって「ニッセイで初めての理系社長」とご紹介いただくことが多いのですが、学生時代はコンピューターが苦手でしたし、ⅠTリテラシーが高いタイプではありません。

 それでも日常生活に目を向けると、私を含めてほとんどの人が年齢に関係なくスマートフォンやインターネットを使いこなしている。これが普通の光景です。

 ところが保険営業の現場に一歩足を踏み入れると、非対面のコミュニケーションツールは主に電話で、きわめて限定的なデジタル環境のなかで働くことが当たり前でした。このギャップに違和感がありました。

 日本生命は創業来135年にわたり、「人の力」を中心に生命保険業務を進めてきたという経緯があります。全国におよそ5万人いる営業職員はその最たるものです。営業職員の日々の活動を描いたテレビコマーシャルを思い起こす方もいらっしゃるのではないでしょうか。自転車に乗った営業職員がお客さまの自宅を1軒1軒訪問し、さまざまなライフステージに応じて最適なプランをご提案する、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを通して深い信頼関係を築き、お客さまに「安心・安全」という価値を提供してきた長い歴史があります。

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source : 文藝春秋 2025年4月号

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