アベノミクス、一億総活躍、資産所得倍増など、この十数年、さまざまな経済対策が講じられたが、長期で見れば、人材の育成こそ最も有効ではないか。AI、半導体から建築、金融まで、「ものづくり大国」再興のために必要な教育とは──
スタートアップ企業の経営をしていると、人材教育について考えさせられることは多いですね。当社は今年で創業14年目。個人向けの家計簿アプリから出発し、今では「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、法人や金融機関向けに、財務や経理、請求書発行のシステムなど金融ソリューションのサービスを提供するようになりました。昨年度の売上高は前年度比33%増の403億円。2028年度には売上高1000億円を中期目標としています。従業員数は約2600人にまで増加しました。
お陰様で会社は順調に成長していますが、最近ではエンジニアを採用しようとすると、外国人材が多くなってしまうんです。
当社では海外拠点として、ベトナムやインドにオフィスを構えていますが、正直に言うと、グローバルで見てもあちらの国は優秀なエンジニアの母数が多い。国を挙げてそうした分野の教育に力を入れているのがわかります。だから、あえて日本人エンジニアの採用を積極的に行っているくらいです。それでも、このままいけば、エンジニアは日本人がマイノリティになるでしょう。
ただ、日本人がダメなのかというと、まったくそんなことはありません。むしろ、日本人としての強みはあるし、その強みを生かせる領域は多い。そう考えるに至ったのは、私自身の経験に拠るところが大きいと思います。

それはMBA留学です。ビジネスパーソンとして、間違いなく大きな曲がり角でした。
私は京都大学農学部の出身で、バイオテクノロジーの分野で研究者になろうかと考えていた時期もありました。しかし、学生時代に仲間と小さな学習塾を経営したことがきっかけでビジネスの楽しさに目覚めたのです。24歳でソニーに就職しましたが、初めての配属は全く希望していなかった経理部。3年目に社内公募があり、ソニーが出資するマネックス証券に出向し、松本大(おおき)社長(当時)の隣で働きました。
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source : 文藝春秋 2025年4月号