
いまだ戦禍にあるウクライナ出身の新入幕力士、安青錦(あおにしき)。3月の春場所前には、意気込みをこう語ってくれたものだ。
「新入幕できて良かったですけど、目指しているところが違うので。(もっと)上を目指しているだけで、新入幕のスピードは別に気にしていなかったです」
同国からは獅司についでの2人目の関取となり、初土俵からわずか9場所での昇進は歴代1位のタイ記録だ。
喜びに浸るでもなく流暢な日本語でインタビューに答え、さらに20歳の青年はこう続けていた。
「わくわくしてます。みんなやったことない人ばかり。強い人とやれるのが一番嬉しいです。2桁以上勝ちたい。三賞が欲しいです。僕が頑張ることでウクライナのみなさんに少しでも元気になってもらえれば」
立ち合い低く頭から当たり、前褌(まえみつ)を取ると叩(はた)かれても引かれても前に落ちずにくらい付き、ひたすら前に出る。身長182センチ、体重136キロと決して大きくはない体が、師匠である安治川親方――技巧派の元関脇安美錦の姿を彷彿とさせる。部屋創設3年目にして初の幕内力士となった愛弟子に、師匠は目を細める。
「素直に話を聞くいい子なんです。日本語も堪能で、私の指導の言葉にも理解力がある。日本文化を学ぶ姿勢も持っていて、これからは相撲文化に馴染めるかというのも一つの課題かな。まだ若いから私生活のほうも注視していきますよ」
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2025年5月号