“おひとりさま”長田昭二さんは、どうやって「念願の自宅で最期」を迎えることができたのか〈親族インタビュー〉

番外編第1回

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ライフ 医療

文藝春秋PLUSに「僕の前立腺がんレポート」を連載中だった長田昭二さんが、6月14日に逝去された。享年59。

 

「一人の人間ががんになって、命を落としていく過程を知ってほしい」と、生前出演したラジオ深夜便などで語っていた長田さんの遺志を受け、文藝春秋編集部ではご親族の了承を得て、闘病生活にかかわった方々のインタビューを連載の番外編としてお届けします。

 

番外編第1回では、叔母の明子さん、従妹(明子さんの娘)の麻夕子さんに、長田さんが最期の日々をどのように過ごしたのか、在宅での看取りについて聞きました。

 

著書『末期がん「おひとりさま」でも大丈夫』(文春新書)のタイトルにもあるように、長田氏は東京・四谷のマンションに一人暮らしをしていました。しかし、自室はエレベーターなしの3階にあり、最後の3カ月はこの階段が日常生活の難所に。いつまで自宅で生活できるかは「この階段を登れるか否か」に懸かっていました。

 

また、主治医の小路直医師がいる神奈川県伊勢原市の東海大学付属病院までは通院に2時間弱かかるため、在宅診療へのシフトを進めていました(連載第23回参照)。実際に、その体制は上手く機能したのでしょうか。

 

■連載「僕の前立腺がんレポート

第21回 がん細胞は正月も手を緩めず、腫瘍マーカーは上昇し続けた

第22回 主治医が勧める骨転移治療“ラジウム223”は断ることにした

第23回 在宅診療してくれる「第二の主治医」を考えるときが来た

第24回 “余命半年”を使い切った僕は、足の痛みで杖が必要になった

第25回 貧血で階段が上れない…がん末期の体調不良は突然やって来た

(訃報) 「僕の前立腺がんレポート」連載中の長田昭二さんが逝去されました

番外編第1回 今回はこちら

著書で初めて知った深刻な病状

 ――お二人は長田さんが最後に頼った親族でした。長田さんからはどの程度、病気について知らされていたのですか?

 麻夕子 詳しい病状を知ったのは、昨年(2024年)11月に出た本(『末期がん「おひとりさま」でも大丈夫』)がきっかけでした。文ちゃん(長田さんの愛称)から突然、発売前の本が自宅に送られてきたんです。表紙は見ましたけど、まさか文ちゃん自身のことを書いた本だと思わず、「ありがとう。読むね~」なんてLINEでお礼を送って。

長田氏の著書『末期がん「おひとりさま」でも大丈夫』(文春新書)

 ――医療ジャーナリストが病気の本を書くのは、当たり前ですしね。

 麻夕子 そうなんです。だから読み始めてから「え? これって文ちゃんの話なの?」と。私は普段、本を読まないんですが、さすがに1日で読み終えました。読み始めたら涙がぽろぽろ出てきたけど、この本、可笑しいことも書いてあるじゃないですか。だから笑っちゃうし、すごく複雑な気持ちになって。「何なの、これ?」って連絡して、詳しく病状を説明してもらいました。

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