地球の大きさを測る

第14回

大栗 博司 物理学者
ビジネス サイエンス 教育

 私が所属しているカリフォルニア工科大学(Caltech)には、退職した教授の書類を保管するアーカイブがあります。

 Caltechの教授を務め、素粒子論の研究でノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの生誕100周年のお祝いでは、このアーカイブが役立ちました。記念講演の依頼を受けて、準備のための資料を探しに行くと、彼の研究ノートが入った箱がいくつもあり、丁寧に整理されていて、専門の職員が必要な書類をすぐに見つけてくれたのです。

 こうした歴史的資料の収集、管理、出版の能力をさらに強化するために、Caltechは3年前に「ヘリテージ・プロジェクト」を立ち上げ、歴史学者を雇って教職員や卒業生のインタビューを行っています。このように対面の聞き取り調査で歴史的情報を収集し、研究することを「オーラル・ヒストリー」と呼びます。

 こうしたインタビューの録音は、文字おこしの後に編集されて、オンラインで公開されています。大学内で、日本経済新聞の「私の履歴書」をやっているようなものです。

 今年になって、私のところにも歴史学者がインタビューに来ました。

 1時間ぐらい話をすればよいのかと思ったら、子供のころから始まって、日米の教育の比較などの話にもなりました。1回2時間で計8時間のインタビューを済ませたのですが、まだ20世紀が終わっていません。

 インタビューのはじめに理論物理学者になろうと思ったきっかけについて聞かれたので、小学校5年生のときに、展望レストランから地球の大きさを測った話をしました。

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source : 文藝春秋 2025年6月号

genre : ビジネス サイエンス 教育