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楠木建の「仕事のお悩み」一刀両断!

――「ビバ!エイジング」のセカンドキャリアから「ほぼ日」手帳術まで

「この仕事、自分に向いているんだろうか」「どうしたら頭の固い上司にうまく話を通せるのだろう」……競争戦略の第一人者として知られる一橋大学・楠木建教授が新著『すべては「好き嫌い」から始まる』の刊行を記念して、ビジネスパーソンたちからの様々な問いにガチで答えるトークイベントを開催。あなたの悩みがふっと消えるかも!?

楠木建さん 八重洲ブックセンターにて ©山元茂樹/文藝春秋

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20代・男性の悩み「嫌いではない仕事なら続けるべきか?」

司会(以下――) 今日はお忙しい中、沢山の方々にお集まりいただきありがとうございます。本日は参加者の方々から事前に募ったご質問、リアルな悩みを楠木先生にぶつけていきたいと思います。まずは20代の方からのご質問です。

「自分は入社以来、財務部門を経て、経営企画に異動となり、それなりに順調なキャリアを歩んでいるなと思っています。しかし、これが本当にやりたいことなのか、自分でも判別がつきません。先生は以前、『若い人の場合、好きなことよりも嫌いなことのほうがはっきり分かりやすいので、とりあえず嫌いなことだけはするな』と言っていたように思うのですが、経営企画の仕事は財務より“嫌いではない”ことなので、このまま続けていて大丈夫なんでしょうか」。

楠木 人間ができることというのは、数も、時間も限られています。もし分身の術が使えたら、朝起きたら3つに分身して、「私は営業」「私は経営企画」「私は他の業界」で働き、夜、家に帰ってきて、みんなで「どうだった?」と話し合う……。これができたら話は早いんですが、人間はそんなに実経験を持てませんよね(笑)。つまり、実経験では同時に比較できない。これが人間の割とうまくできているところだと思います。

 僕は、経験していない何かと比較して、良いの悪いのと考えるのはあまり意味がないと考えています。ですから、今、経営企画のお仕事をなさっていて、朝起きて「よーし、今日も行くぞ」と思えるならば、実はその仕事を好きなのではないでしょうか。問題は、そこで「凝る」ことができるかどうか。「凝る」というのは、「努力している」とか「頑張っている」のとはちょっと違った種類ののめり込み方をすることです。「凝る」ことができるかどうか、それがそのことが本当に好きかどうかの分かれ目だと思います。