「ラグビーワールドカップ2019」の決勝戦が、いよいよ今夜行われる。日本で開催される初めてのW杯、しかも日本代表チームがベスト8に進出するなど盛り上がりを見せ、日本中のラグビー熱が一気に高まった。

 もちろん、“にわか”の熱は、下がる時には急速冷却するものだが、それでも今回をきっかけに、ラグビーファンは確実に増えるはずだ。

 そんな中で、学童期の子を持つ親の間で、子供にラグビーをさせたい、と考える人が増えているという。

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 たしかに今回のW杯を観ていると、どの国の選手もどんな危険な場面でも自分の身を挺して味方にボールをつなぎ、試合後はノーサイドの精神に基づいて、相手チームと称えあう。観ているこちらまで、爽やかな気分になる。若いお母さんたちがわが子に「ああなってほしい」と夢を託すのも無理からぬことだ。

福岡選手に勢いよく突撃する南アフリカ選手 ©getty

子供にラグビーをやらせたい! けど……

 一方で、試合が始まるとフィールドのあちこちで大男たちが衝突し合い、倒された選手の上に何人もの大男が重なり合って身動きが取れなくなっていたりする。試合終了後の選手は顔に擦り傷があったり、ユニフォームに血がついていたりして、明らかにケガの多そうな競技ではある。「大切なわが子に何かがあっては困る」、「あんな危険なスポーツだけはさせたくない」と考える親がいるのも当然だろう。

 実際、子供にラグビーをさせるのは危険なのだろうか。

「高校の部活動で行われる競技の中で、“ケガの多さ”で見れば、確かにラグビーはトップクラスです。でも、ぜひ子供たちには経験してほしい。なるべくなら小さいうちから始めてほしいですね」

鈴木一秀医師

 と語るのは、早稲田大学ラグビー蹴球部チームドクターで、麻生総合病院スポーツ整形外科部長の鈴木一秀医師。同医師によると、昔はテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」や、もっと昔なら「われら青春!」などの影響でラグビーを始めるケースが多かったが、最近は状況が違ってきているという。

「父親が高校や大学でラグビーをやっていたことで、ぜひ子どもにも……というケースが非常に多い。ラグビー経験者の父親は、単なるスポーツとしての競技だけではなく、ラグビーに取り組むことで得られる“人格形成”の面に重きを置いていることが多いのが特徴です」(鈴木医師、以下同)

 人格形成については後述するとして、ラグビーに付きまとうケガについて、まずは検証したい。