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松竹追放——映画界に激震が走った日

春日太一著『黙示録——映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』

 話は、ついに松竹追放の「あの日」におよぶ。当時、専務だった奥山和由の松竹解任劇の詳細については『黙示録』に詳しいが、同時代を併走していた鍋島壽夫の目にはどう映っていたのか。

春日 この話は触れざるをえないと思うんですけど、奥山さんが松竹を追放されてしまったということについて、言える範囲でかまわないので、鍋島さんのなかではどのようにそのときは受け止められたんでしょうか。

鍋島 日本の映画界は東宝・東映・松竹という3大があって、どちらかというと松竹は山田監督を中心に『寅さん』(シリーズ)など伝統ある映画を作っていた。奥山さんの存在は、当時、角川春樹という人が出て世の中を席捲していたのと同じように、映画界全体を見れば今振り返ってみてもすごくいいことだったと思います。

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 ただ、一言でいえば当時の奥山さんは松竹の路線よりも飛び出てしまった。そういうところで、ああいう解任劇になってしまったのかなと。でも、これは松竹にとって大変な損失だったと思います。もし、奥山さんが今でも松竹にいたら、また違った展開になり、映画界全体も(変わったものに)なってると外で見て思いますね。