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「僕の初恋は近所に住んでいたオス犬だった」開高健ノンフィクション賞受賞作家が語る“動物性愛”の世界

「僕の初恋は近所に住んでいたオス犬だった」開高健ノンフィクション賞受賞作家が語る“動物性愛”の世界

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 読書, 社会, 国際

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動物を傷つけないよう「受け入れる側」になる男性も多い

――著書ではパートナーになる動物は犬か馬が多い、とありました。

濱野 私が出会ったズーたちは、犬をパートナーにする人が圧倒的に多かったですね。その次が馬。一般的にズーが子どもの頃に接することの多いペット動物や、農場の動物が性の対象になることが多いとされています。それと、ゼータのズーにとっては“サイズ問題”も重要なようです。

「ドイツでは時々、街中を馬車が走っているのを見かけます」(濱野さん)

――体のサイズですか?

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濱野 はい。ゼータには猫をパートナーにする人がいなかったのですが、その理由は「小さすぎて、猫を傷つけないでセックスするのは不可能だから」というものでした。だから小型犬をパートナーにしているズーもいませんでした。特に「ゼータ」のメンバーは動物を身体的にも精神的にも傷つけないように細心の注意を払っているので、動物に自分の性器を挿入することを避ける傾向もありました。

――動物の種類によっては、人間との体格差はかなりでますよね。

濱野 そうなんです。相手や方法によっては怪我をさせてしまうかもしれない。だから「ゼータ」のメンバーは、男性であっても“受け入れる側”であることが多いんです。そうすれば動物に負担をかけてしまう可能性は低いですから。あとはオーラル・セックスをしたり、動物のマスターベーションを手伝っているという人もいました。

「動物にも性欲がある」という前提がある

――人間が“受け入れる側”になるには、動物がその気にならないとできませんよね?

濱野 私もその点がすごく疑問だったんですよ! どうやって性行為が始まるのか。でもズーたちが口をそろえて言うんです。「向こうから誘ってくる」って。

――動物が誘ってくる……。

濱野 戸惑う気持ちはわかりますよ(笑)。でも、ズーたちには動物の“サイン”がわかるんです。例えば「(自分の周りを)くるくる回る」「身体にのしかかってくる」などの他に、動物の方から「寝ている時に性器を舐める」「服をめくってへそを舐める」などの直接的な行為や、動物の性器の変化で誘惑に気づくこともあるそうです。

©文藝春秋

――そういうことをされても、普通は“誘惑”だと思えなそうですが……。

濱野 ズーとそうでない人を決定的に分ける点があるんです。それは「動物にも性欲がある」と思っているかどうか。その前提があるから、彼らは動物からの“サイン”を理解することができるんです。

――動物には発情期があるとか、そういうことではないですよね。

濱野 それは知識として知っているだけですよね。そうではなくて、彼らは「動物にも(人間と同様に尊重されるべき)性欲がある」と考えているんです。例えば飼い犬が足に抱き着いて腰を振ってきたら、どうしますか?

――「やめなさい」とは言うかもしれません……。