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「2019年生まれ90万人割れ、日本人毎年50万人減少」時代の生き抜き方

少子化の原因は、子育て支援の問題ではなく婚姻数の減少だ

2020/01/02
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所得の低い男性と結婚するぐらいなら

 また、出産年齢が上がったので子どもが増えないというのも正しくて、1965年の初産年齢は平均25.7歳でしたが、いまは31歳ぐらいです。25年ごとに新しい世代が生まれる半世紀前と、31年ごとに子どもができる現在とでは、出生数に差が出てくるのは当然です。2人目3人目が欲しくても、お母さんが40代に差し掛かってしまったので母体の健康やダウン症のリスクを考えて見送った、という家庭は少なくないと思います。初産が若いほうが、子どもを多く生む可能性が高まるのは当然のことと言えます。

 というわけで、日本の出生率をめぐる議論は閉塞感に満ちているわけですけれども、ここで政策面を考えてみましょう。

 何よりも、出生率に効く国民の行動は「経済的に安定していて」「結婚をしていること」になります。

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 しかしながら、結婚できない理由の一番大きいものは、経済的な理由というよりは、自分に相応しい相手がいないというとぼけた項目がトップです。

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h26/zentai-pdf/index.html

 もう30代を過ぎたのにイケメン20代の年収600万男性を追い求める女性や、色白デブの中年男性が20代女性と結婚したいとほざくのは非常に一般的になり、「理想の結婚相手に恵まれないなら独身でいいや」と自己決定する人たちが少なくないとも言えます。

 一方、結婚や恋愛についての希望が失われている側面もあります。親の世代は結婚して子どもを儲けることで、より良い生活が送れるという希望がありました。いまの若い人は直接の経済的理由ではないまでも「結婚したところで、生活は苦しいままなのではないか」と億劫になる部分もあるのでしょう。女性の社会進出が進むと、女性が生涯未婚でも自活できる社会制度が整いつつあり、所得の低い男性と結婚するぐらいならば未婚のままキャリアを積んだほうが良いと考える女性も増加しそうです。

経済力のある男は複数回結婚する

 また、いまや離婚が当たり前となり、キャリアと経済力のある男性は特に複数回結婚する「時間差一夫多妻制」が徐々に増えてきています。女性は概ね若くて初婚の傾向が強いとなると、必然的に結婚できない、結婚を諦めざるを得ない男性は社会に取り残されていくことになります。男性の生涯未婚率がまず上がり、やがて社会進出を果たした女性が未婚傾向を強めると、出生率に重大な影響を及ぼす結婚の絶対数が減り、日本の出生率は1.4台を続けることになるのです。

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 そうなると、政策的に打てる手は少なくなってきます。民主主義的な世の中で、結婚したいけど相応しい相手が見つからないと思っている日本人に「いいからおまえはさっさと結婚しろ」と政府や自治体が言うわけにもいきません。せいぜい水飲み場にラクダを連れて行くように出会える環境を作ってあげることぐらいまでで、そこから先は若い人が、ご自由に、という話しかできません。

 民主主義の社会で、自己決定権が大前提になれば、結婚を社会的前提としていた時代と違い「こんな私に見合わないレベルの人ばかりなら、私は結婚しないでずっと独身でいたい」と思う女性が出るのも当然です。一方で、40代になった独身女性が、結婚して出産しなかったことを後悔しているさまを目撃しますが、それはもう第三者からすればどうしようもないことであり、いわんや政府をや、ということになります。

 政府の少子化対策が失敗に終わったと酷評されるのは、単純に国民に対して「結婚しろ」「子どもを産め」と強制することはできないからです。地縁血縁で結婚相手を押し付けるような戦前の結婚観は現代からすれば問題ですが、出生率の改善という観点から本当に解決を目指すのであれば無理矢理結婚させるか、結婚しなくても子どもが育める環境や技術が大事になってきます。