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日本の「熱意ある社員」は6%のみ、という米ギャラップ調査

 で、実はここまでが本稿の前置きだったのです。脱落する読者の心情を充分忖度したところで、先日結構な飛距離の飛ばし記事を量産することもあるスラッガー的な経済新聞に不思議な記事が掲載されていました。リサーチ業界界隈で騒ぎになっていたので、どれどれと見てみると「『熱意ある社員』6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査」という内容でありました。なんだこれわ。なるほどこれは真っ芯でとらえた見事な放物線を描いての飛ばしなんじゃないかとさえ思います。

 調査の細目が出ていたので見てみると、どうやらこの調査そのものは「Q12」という12の質問からできているようです。要するに、調査項目に対し5段階評価で回答しているのです。例えば、「 職場でもっとも得意なことをする機会を毎日与えられていますか?」とか「職場の誰かが自分の成長を促してくれていますか?」とか「会社の使命や目的が、あなたの仕事は重要だと感じさせてくれますか?」とか「上司または職場の誰かが、自分を一人の人間として気にかけてくれていると感じますか?」などという質問に答えるものです。

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 日本で働いている日本人で「おう! 俺の勤めている会社はビジョンが俺を熱くさせるぜ」みたいに感じる人は通常「あいつはいかれているのではないか」と疑われると思うんですよね。当然、ほとんどの人が「いや、そこまででも」と"3"か"2"をつけると思うんですよ。

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 そういう質問が続くなか、5段階評価で「ヒャッハーーー!!! 俺の職場は超働き甲斐があるぜ!!」という項目である"5"と回答した熱血被験者がどれだけいたのかという内容だったため、そりゃ日本は少ないだろ、となるわけであります。「仕事に不満はないけどもう少し給料が欲しい」とか「仕事をしていて楽しいのは間違いないが、もう少し休みがあれば」と思う日本人はたくさんいると思うんですけれども、そういう人はたいていの質問に"2"か"3"か"4"をつけるわけですよ。

ゲーマー市場の極端なレビュースコア

 これ、私の本業でもあるゲーム業界でもあることなんですが、ゲーム業界では新作ゲームにはユーザーレビューのスコアがつきます。コアなゲーマーからライトなユーザーまでいろんな人がいろんな角度から遊んだ結果は何点かということで、実際にこのスコアがゲームの売り上げにとても影響力が高いことが統計的に分かっているため、ゲーム制作の資金を出すパブリッシャーからゲーム開発をするデベロッパーに対して「お前んとこにゲーム発注するんだが、93点以上のメタスコア出してくれたらボーナス出すわ」「わっかりましたー!」みたいな図式は往々にしてあるわけです。

 ところが、日本人というのは面倒くさいゲーマーが集う面倒くさい市場で、まあ単純にいえばちょっとでも気に入らないところが出ると「0点」みたいな点数をつける馬鹿が続出する市場なわけですな。ただ、このメタスコアも、そういう極端な点をつける人間を平均点や最頻点から排除するために上下15%はノーカウントにするとかいう荒業を使うわけなんですけど(よくフィギュアスケートの芸術点やスキージャンプ競技の飛距離目視で使う方法)、日本人の場合は100点をつける奴が少ない代わりに0点をつける馬鹿が大量にいるため、このやり方だと欧米に比べてごっそりと平均点が下がる傾向にあるわけですよ。

 なので、世界同時発売だ! と日本も入れて一斉に大作ゲームやアプリをリリースすると、日本人ゲーマーからの厳しい採点に晒されて平均点が下がってしまいます。酷い話だ。そこで、2カ月後とか3カ月後に日本語訳つきのタイトルがひっそりとリリースされるという技まで開発されてしまうわけであります。