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疑問3 パク社長夫人は、なぜ英語を交えて話すのか?

 パク社長の妻、ヨンギョが言葉の端々に英語を交えて話すことに、疑問を持った人もいるだろう。それも彼女が使う英語は、簡単な単語や文章ばかり。

 ヨンギョの中途半端な英語交じりの話し方は、自然に身に着いたというよりは、意識的に自分の知的レベルを高く見せようとする一種の「背伸び」なのだ。

 韓国社会において英語を話せるかどうかは、「能力」というだけでなく「身分」を示す意味合いもある。

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大邸宅に住むパク社長(左)と妻のヨンギョ 『パラサイト 半地下の家族』より © 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 1993年、韓国では金泳三政権の「世界化」という旗印の下、英語教育ブームが起きた。さらに、2007年に当選した李明博大統領は、「貧困の連鎖を防ぐために、学校で英語をきちんと教える」として、英語教育強化を推し進めた。

 その結果、「英語格差」という言葉が登場するほど、所得水準によって英語教育は二極化するようになった。2019年の統計によると、未就学児童に対する英語教育費用は、富裕層が暮らす教育熱の高い江南地域が、他の地域より約20倍も高くなるほどだ。

 ヨンギョを演じたチョ・ヨジョンはインタビューで、ポン・ジュノ監督から次のような説明を受けていたことを明かしている。

「ヨンギョは大学2、3年生の時に妊娠して、すぐに主婦になった。夫の社会的地位に歩調を合わせたいと努力している」

アカデミー賞受賞を伝えるニュースに登場したポン・ジュノ監督 ©AFLO

 ヨンギョは上流社会出身ではなく、成功した夫のおかげで上流層の一員となったため、その地位にふさわしい人間であるように振る舞うために、英語交じりの話し方が必要だったのだ。