中国は1月27日から日本を含めた海外への団体旅行を中止し、個人向けパッケージツアーの販売も禁止した。この措置で対象となるのは訪日中国人観光客全体の約4割に及んだ。
また一方で日本政府は1月31日、外国人の日本渡航を制限する方針を発表した。これは入国申請時から14日以内に中国武漢市を含む湖北省に滞在歴のある外国人などに対して「当分の間、入国を拒否する」ものである。
現在、日本を訪れる外国人観光客のうち香港を含めた中国からの訪日客は3割を超える。そのため日中両政府のこれらの措置により、とくに例年であれば中国人観光客が押し寄せる春節に当て込んでいた観光業界は大きな痛手を受けることが予想された。京都においては早くも2月6日には府と市が新型肺炎の影響で業績が悪化した中小企業向けに緊急融資制度を創設し、インバウンドブーム以降、前例のない衝撃に備えた。
こうして京都の観光が未曽有の非常事態に突入してから約2週間後の2月17日に発表された京都商工会議所による緊急調査では、 新型コロナウイルス感染拡大による影響で「すでに損失が出ている」が25%、また「影響がある」とした企業は46%にのぼっている。
では、京都観光の現場ではいったい何が起こっているのだろうか。
「風向きが変わった」のは2月17日
「2月17日あたりでしょうか。あ、風向きが変わったなと思いました」
京都のなかでも外国人観光客に人気のとある旅館のマネージャーはそう話す。個人客が主であるというこの旅館では、1月末の中国人団体旅行の停止以降もしばらくは予約通りに訪れる客が多かったという。
現在、中国人が日本を訪れようとすると観光ビザを取得するために各種の証明書類の提出が求められるなど
しかし、2月17日以降は中国はもちろん様々な国や地域の予約客からキャンセルのリクエストが入るようになったのだという。
2月17日といえば、横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号内で確認された感染者数が454人に達し、中国国外で確認された感染者数の総数を上回ったことがセンセーショナルに世界に報道されまたASEAN加盟国でははじめてタイの保健省が日本への渡航自粛を呼びかけた日である。