1ページ目から読む
4/4ページ目

観光都市はこの異常な冬から何を学ぶのか

 2月25日、新型肺炎の影響を受けたわが国で初めての企業破たんが報道された。愛知県の旅館であり、とくに中国からの団体ツアーの受け入れに力を注いできたという。

 京都においても、もともと2月は一年の中でも観光客の足が京都から遠のく閑散期であった。しかしインバウンドブーム以降、春節休暇と重なることもあって近年では「中国人客頼み」のシーズンとなっていたのが実状である。そのため今回の事態は、宿泊施設のほかに「春節効果」をあてこんでいた免税ショップ、ドラッグストア、そして着物レンタルなど、とくに中国人観光客への依存度が高いビジネスにおいて影響が深刻なのだ。

©iStock.com

 折しも京都観光の問い直しが始まっていたところに襲い掛かったこの苦難は、様々な示唆を地域社会に与えるはずである。中国というひとつの国に強く依存する産業構造の脆弱さが今回の事態で露呈したと捉えている関係者は多いだろうし、そもそも観光という生業のままならなさを思い知る人も多いかもしれない。そして「この京都こそ本来の姿だ」という人もいるだろう。

ADVERTISEMENT

 いずれにせよ、この雪のない京都の冬景色から人々が何を学び、そして何に「懲りる」かが、観光都市としての「次の京都」のあり方に、そして観光立国を目指す日本社会の今後に大きな影響を与えることは間違いないと思われる。